間延び
人がなぜ「怠惰」になってしまうのか、その明確な理由を理解しているだろうか。
結論から言えば、人間は今なお原始的な「本能」に従って行動しているからだ。
人類の脳の基本的な仕組みは、数億年前の生物の起源からさほど変わっていないと言われている。
それほどまでに、私たちの脳のシステムは古いままであるということだ。
遥か昔の過酷な環境において、生命を維持することは当たり前ではなく、常に飢餓の恐怖と隣り合わせであった。
そのため、生物は生存本能として必要以上のカロリー消費を抑えようと「省エネモード」に入る習性を身に付けた。 常に全力で活動していては、食料が尽きる前に自らの命が尽きてしまうからだ。
この生命維持のためのプログラムこそが、現代におけるサボり、すなわち「間延び」の正体なのである。
しかし、この現代社会において飢え死にするリスクは極めて低くなった。
特に日本においては尚更である。
その結果、現代人は過剰に摂取したカロリーをわざわざ消費するために、お金を払ってジムに通うという奇妙な状況を生み出している。
ここに大きな罠がある。
「食いっぱぐれることがない」という環境と、「自分の人生はあと50年ほど続くだろう」という根拠のない安心感が、人を停滞させるのだ。生存の危機がないからこそ脳は省エネモードを継続し、結果として人生の大半をサボることに費やしてしまう。
だが、もし「あなたの命はあと2年である」と宣告されたらどうだろうか。
おそらく、今と全く同じ怠惰な生活を続ける者はいないはずだ。
本気で成し遂げたかった挑戦、訪れたかった場所、会いたかった人たちに会うために、猛烈な勢いで行動を起こすに違いない。
2年という限られた時間の中で、省エネモードに甘んじている猶予など1秒もないからだ。
人間を含むすべての生命は、例外なく最後には「死」を迎える。
そして、1日24時間という資産の価値は、誰にとっても完全に平等だ。
そのタイムリミットが明日訪れるとしたら、あなたは今日という日を、どのような覚悟で過ごすだろうか。
